参考文献・資料

羊皮紙陶房では、古代ギリシア陶器の歴史、技法、文化について紹介するにあたり、考古学・美術史・陶芸技法に関する文献や学術論文を参考にしています。

古代ギリシア陶器やその文化については、国内外に数多くの優れた研究や資料があります。以下は、その中でも私が制作や調査を進めるうえで特に参考とした書籍・論文です。

本サイトをご覧いただき、さらに興味を持たれた方は、ぜひ原典や専門書にも触れてみてください。

日本語文献

【古代ギリシア陶器の全体像を学ぶための基本書】

Simon, E.(著), 芳賀京子・藤田俊子(訳)『ギリシア陶器』中央公論美術出版,2021年.

古代ギリシア陶器を体系的に学ぶことができる大著です。黒像式・赤像式をはじめとする技法や器形、図像、歴史的背景まで幅広く解説されており、古代ギリシア陶器全体を理解するための基本文献として参考にしました。

【ギリシャワインを知るための入門書】

フォティオス・ジョリス(著)『ギリシャワイン』飛鳥出版,2002年.

古代から現代までのギリシャワインの歴史や産地、土着ブドウ品種、ワイン法などを幅広く紹介した、日本語で読める数少ない解説書です。本サイトの内容をまとめる際の参考文献の一つとしました。

※本サイトでは、本書の内容を参考にしつつ、古典文献および近年の研究成果を踏まえ、内容を適宜補足・再構成しています。

【古代ギリシアの酒宴文化を知るための古典】

プルタルコス(著), 柳沼重剛(編訳)『食卓歓談集』岩波書店,1987年.

古代ギリシア・ローマ時代の知識人たちが、酒宴の席で交わした会話をまとめた作品です。ワインの飲み方や宴会の進め方、音楽、食事、哲学など、多彩な話題が対話形式で語られています。

本書からは、ワインを水で割る割合や、宴会の幹事(シンポシアルコス)の役割など、古代のシュンポシオンがどのように運営されていたのかを知ることができます。

本サイトで紹介している「古代ギリシアのワイン」や「シュンポシオン」を理解するうえで、最も重要な基本文献の一つです。

【古代ギリシアの宴会文化を知るための古典】

アテナイオス(著), 柳沼重剛(訳)『食卓の賢人たち』岩波書店,1992年.

古代ギリシア・ローマ時代の学者アテナイオスが、宴会の席で交わされる会話を通して、文学や歴史、音楽、料理、酒宴文化など幅広い知識を紹介した作品です。多くの古典作品を引用しており、現在では失われた作品の断片も数多く伝えています。

本書からは、ワインを水で割る習慣や酒宴の遊び「コッタボス」、酒の席で歌われた詩、酒量についての教訓など、古代ギリシアのシュンポシオンが実際にどのような雰囲気で行われていたのかを知ることができます。

本サイトで紹介している「古代ギリシアのワイン」や「シュンポシオン」を理解するうえで、プラトンやプルタルコスと並ぶ重要な参考文献です。

【古代ギリシアのシュンポシオンを知るための古典】

プラトン(著), 久保勉(訳)『饗宴』岩波書店,1952年.

古代ギリシアの饗宴(シュンポシオン)を舞台に、参加者たちが「愛」や「美」、「人生」について自由に語り合う、プラトンを代表する対話篇です。

本書からは、当時のシュンポシオンが単なる酒宴ではなく、人々が酒を酌み交わしながら思想や哲学を語り合う社交の場であったことを知ることができます。

本サイトで紹介している「古代ギリシアの饗宴」を理解するうえでも、文化的背景を知るための基本文献の一つです。

英語文献

【図像や神話を理解するための資料】

Oakley, J. H. The Greek Vase: Art of the Storyteller. British Museum Press, 2013.

古代ギリシア陶器を「絵画」として読み解く一冊です。神話や日常生活、競技、酒宴など、器に描かれた図像の意味や物語を豊富なカラー写真とともに紹介しており、図像研究の参考文献として活用しています。

【制作技法を研究するための専門書】

Schreiber, T. Athenian Vase Construction: A Potter’s Analysis. Los Angeles: J. Paul Getty Museum, 1999.

現代の陶芸家の視点から、アテネ陶器の制作工程を技術的に分析した専門書です。器の成形方法や接合技法、制作手順について実験的な検証が行われており、本サイトのキュリクス制作研究において最も参考とした文献の一つです。

【展覧会図録・博物館資料】

Cohen, B. The Colors of Clay: Special Techniques in Athenian Vases. Los Angeles: J. Paul Getty Museum, 2006.

J. Paul Getty Museumで開催された特別展の図録です。黒像式・赤像式だけでなく、白地式(White-ground)、バイリンガル、ケルチ様式、Six’s Techniqueなど、アテネ陶器に見られるさまざまな特殊技法を豊富な図版とともに紹介しています。各技法の制作方法や特徴に加え、保存・修復に関する解説も収録されており、古代ギリシア陶器の多様な表現技法を理解するための重要な資料です。本サイトの制作研究や技法の考察においても参考とした文献の一つです。

【描画技法を考察した学術論文】

Artal-Isbrand, P., & Klausmeyer, P. Evaluation of the Relief Line and the Contour Line on Greek Red-Figure Vases Using Reflectance Transformation Imaging and Three-Dimensional Laser Scanning Confocal Microscopy. Studies in Conservation, Vol. 58, No. 4, 2013.

赤像式陶器の輪郭線やリリーフライン(盛り上がった線)を、反射変換画像法(RTI)と三次元レーザー顕微鏡によって分析した研究論文です。線の断面形状や描画順序を科学的に検証し、輪郭線は数本の毛からなる細筆によって描かれたこと、さらにリリーフラインには異なる二種類の描法が存在することを明らかにしています。本サイトで行っている黒化粧土による描画技法の研究においても、制作工程を理解するための重要な参考資料となりました。